武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と ルンドベック・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、以下「ルンドベック・ジャパン」)は、世界精神保健連盟(World Federation for Mental Health)が定める『世界メンタルヘルスデー(WMHD)』(10月10日)に合わせ、雇用形態別のうつ病患者さんの就労における現状と課題およびコロナ禍での影響を把握することを目的に、過去5年以内の就労期間中に精神科、心療内科、メンタルクリニックで初めてうつ病と診断された19歳から64歳の全国の患者さん464人(内訳: 正社員200、契約社員または嘱託社員116、派遣社員46、アルバイト・パートタイム102)を対象とするインターネット調査を実施しました。
この調査結果から、本調査に回答されたうつ病の患者さんはいずれの雇用形態においても、仕事の継続やキャリアへの影響についての不安を主な理由として、全体の53%が精神科・心療内科・メンタルクリニックの受診に抵抗を感じたことがわかりました。具体的には、受診に抵抗を感じた理由として、「このまま仕事を続けられないかもしれない」(59%)、「うつ病と診断されることで仕事から外されるかもしれない」(36%)、「将来のキャリアに不利になるかもしれない」(29%)といった仕事の継続やキャリアへの不安が上位に挙がりました。
うつ病患者さんが診断時に仕事をするうえで支障になった症状としては「集中力が保てない(保てなかった)」(44%)が最も多く、うつ病を発症する前と同じようなパフォーマンスを発揮できないことが、仕事への継続・将来へのキャリアへの不安にも繋がっていると考えられます。一方で、上司に伝えてよかったと思う理由で「仕事面(業務内容や異動など)で配慮してもらえたため」(45%)、「会社の制度が利用できたため」(37%)に続き「気持ちが楽になったため」(37%)が挙がっており、同僚に伝えてよかったと思う上位の理由でも「気持ちが楽になったため」(48%)、「周囲に病気であることを知ってもらえたため」(42%)と、職場で上司や同僚と病状について話すことで、仕事面への配慮だけではなく患者さんの安心感に繋がっている傾向がみられました。
また、上司に診断結果を伝えているかについては、84%の正社員は会社の制度の利用や仕事への配慮を求めて上司に診断結果を伝えている一方で、派遣社員、パートタイム・アルバイトといった非正規雇用の人ではその割合が低く(52%・57%)、会社の人事制度などを利用することが難しく、退職することによってさらに就労の継続が難しくなっている可能性があることもわかりました。
コロナ禍では、就労しているうつ病患者さんは、「経済的な不安のため」(59%)、「感染に対する不安のため」(50%)、「外出を自粛しなくてはならなかったため」(48%)を主な理由として58%の人が心身のストレスの増加を感じています。一方で、7%の人はストレスが減ったと答えており、その理由として「外出する必要がなくなったため」(66%)、「人と会う機会が減ったため」(66%)、「一人でいられる時間が増えたため」(56%)、「通勤がない、または通勤することが少なくなったため」(53%)、「対面のコミュニケーションが減ったため」(50%)と続いています。人とのコミュニケーションの減少がストレスの減少理由の上位を占めています。
本調査により、働くうつ病患者さんのニーズは、うつ病の治療後も就労を継続していくことであり、雇用形態にかかわらず、仕事を継続するための企業内のサポート、包括的な社会の構築が重要であることが示唆されました。
長年にわたりうつ病の研究と治療に携わり、本調査の監修者である、慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室教授、日本うつ病学会理事長 三村 將先生は今回の調査結果について、「今回の調査で明らかとなった就業しているうつ病患者さんの持つ不安や課題は、臨床現場で患者さんから把握している内容と同様の傾向で、うつ病という疾患へのサポートを検討していくうえで意義あるものだと考えます。特に、うつ病と診断されることによる就労の継続への不安や就労に支障がでる症状があるという実態は、広く理解されているとは言い難い状況です。国内の労働人口が減少傾向にある中、就労意欲のあるうつ病患者さんが成果を出しながら継続して働き続けられるよう、制度の構築だけではなく、患者さんを取り巻く上司や周囲の同僚の方々が疾患への正しい理解に基づいてサポートすることが重要です」と、述べています。
<世界メンタルヘルスデー(WMHD)について>
世界精神保健連盟(World Federation for Mental Health:
https://wfmh.global/)は、毎年10月10日を『世界メンタルヘルスデー(WMHD)』と定め、世界各国でテーマに沿ったメンタルヘルスに関わる啓発活動が行われています。今年2020年のテーマは「Mental Health for All: Greater Investment – Greater Access(すべての人のためのメンタルヘルス(精神的健康)-さらなる投資とアクセスの向上を)」を実現するために、必要な投資を行い、だれもが適切な治療へアクセスできる社会を目指すという内容となっており、武田薬品とルンドベックはグローバルでこの活動にコミットしています。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(
TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、
https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
<ルンドベック(H.Lundbeck A/S) について>
ルンドベックは精神・神経疾患に特化したグローバル製薬企業です。 70年以上にわたり精神・神経科学研究の最前線に立ち、日々すべての人が最善の状態になれることを目指して、ルンドベックの存在意義である脳の健康を回復することに注力しています。
世界で推定7億人を超える人々が精神・神経疾患を抱えて暮らしています。そしてあまりにも多くの人々が適切な治療を受けていない、偏見にさらされている、勤務日数が減少する、早期退職をせざるをえないなどの状況に苦しんでいます。
私たちルンドベックは日々、精神・神経疾患を患っている人々の治療の向上と、より良い生活のために努力を惜しみません。その取り組みを「Progress in Mind」(プログレス・イン・マインド)と呼んでいます。
詳細については、
https://lundbeck.com/global/about-us/progress-in-mindをご覧ください。
ルンドベックは、現在50ヵ国以上、約5,800人以上の社員を擁し、研究、開発、製造、マーケティング、販売に従事しています。また、製品は100ヵ国以上で販売されており、研究センターはデンマーク及びカリフォルニア、製造工場はデンマーク、フランス、イタリアにあります。
2019年の収益は170億デンマーククローネ(23億ユーロ、26億米ドル)でした。
ルンドベックに関する詳しい情報は、
www.lundbeck.comをご覧ください。
<ルンドベック・ジャパン について>
ルンドベック・ジャパンは、2001年に日本法人を設立、2019年にコマーシャル本部を構築し営業活動を開始いたしました。精神・神経疾患領域に特化した製薬企業として、グローバルで蓄積した豊富な知識と知見をもとに、日本においても患者さんの治療向上とより良い生活に貢献するために取り組んでいます。ルンドベック・ジャパンに関する詳しい情報は、
www.lundbeck.co.jpをご覧ください。