「In Their Shoes」は、スマートフォンのアプリケーションからの指示に従ってIBD患者さんの日常生活を体験し、患者さんの気持ちをより適切に理解することを目的として開発されたシミュレーションプログラムです。「In Their Shoes」 とは、英語で「その⼈と同じ⽴場や境遇に⾝を置いて考える」ことを意味します。当プログラムは、IBD 患者さんや患者さん団体の協⼒を得て海外で開発された、科学的根拠に基づくストーリー性のあるプログラムであり、当社の包括的な患者さんケアへの取り組みである、“Patient First Program(ペイシェント・ファースト・プログラム)”の取り組みの一つです。
IBDは比較的若年に発症し、10歳代から30歳代に好発することが知られています。患者さんの多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送っています。しかし、IBDは見た目に分かりづらい疾患であるため、患者さんは学校や職場などで周囲の理解が得られず、様々な悩みを抱えながら生活しています。このたび、IBDの好発年齢層である20代の医療系学生に、IBD患者さんの抱える課題を理解してもらうことを目的に「In Their Shoes」を実施しました。
日本で初めての社外への提供となる今回の「In Their Shoes」では、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、一般社団法人日本薬学生連盟及び栄養学生団体【N】に所属する27名の医学生、薬学生、看護学生及び栄養学生等がプログラムに参加しました。参加者は、アプリケーションに送信される指示に従い、急にトイレにいくよう催促される、ランチタイムで食事制限が課され食事の選択肢が限られる、などのシミュレーション体験を行いました。
参加者からは、「IBD患者さんの日常生活を体験することによって、宴会の料理が食べられない、トイレが混雑していたら間に合わないなど、IBD疾患を自己管理しながら日常生活を送ることの難しさや患者さんの気持ちを理解できました」「IBDは見た目だけでは分からない病気だからこそ、IBD患者さんが病気について話しやすい雰囲気、それを聞いた周りが受け入れる雰囲気が大切だと感じました。そのための一歩として、まずはこの病気について知っている人が増えるといいなと思いました」などの声があがりました。