当社は、このたび、カボザンチニブリンゴ酸塩(開発コード:XL184、以下「カボザンチニブ」)について、切除不能又は転移を有する腎細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
今回の申請は、海外第3相試験のMETEOR試験、海外第2相試験のCABOSUN試験、ならびに血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者さん35名を対象に有効性と安全性を検討した国内第2相試験であるCabozantinib-2001試験の結果に基づくものです。本試験は、2019年4月18日に開催された第107回日本泌尿器科学会総会において、Late breaking abstractとして主解析データが公表されました。
当社のOncology Therapeutic Area Unit HeadであるPhil Rowlandsは「日本国内における腎細胞癌の罹患率は増え続けており、新たな治療オプションが待ち望まれている領域です。本剤の開発にあたり、ご協力いただいた患者さん、医師の方々に感謝するとともに、腎細胞癌で苦しんでいる日本の患者さんにカボザンチニブをお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。
カボザンチニブは、Exelixis, Inc.が開発し、日本においては、2017年1月に当社と開発提携および独占的販売権に関する契約を締結しました。
<腎細胞癌について>腎細胞癌は、腎臓にできる悪性疾患である腎がんの一つで、腎臓の尿細管の上皮が悪性化した病気です。男女比は約2
対1で男性に多く、高齢になるほど発生頻度も高くなります。もともと腎がんは、欧米に比べて少ないとされていましたが、1980年代以降、増加の一途をたどっています。背景には、食生活の欧米化や人口の高齢化、さらに検査機器の発達によって偶然発見される腎がんが増えたことが関与しています。
<カボザンチニブについて>カボザンチニブは米国において進行性腎細胞癌の治療およびソラフェニブ治療後の肝細胞癌の治療の適応で承認されています。また、カボザンチニブはEUやその他の国および地域においても承認されています。
<METEOR試験について>本試験は、血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した、転移を有する進行腎細胞癌患者さん(658例)を対象に、カボザンチニブ60mgとエベロリムス10mgを1日1回連日投与した無作為化比較試験である海外第3相試験です。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、カボザンチニブ群で7.4ヵ月、エベロリムス群で3.8ヵ月であり、層別因子で調整したハザード比(HR)は0.59〔95%CI:0.46~0.76、P<0.001(層別ログランク検定)〕でした。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値、奏効率(ORR)ともに、エベロリムス群と比べ、カボザンチニブ群で統計学的に有意な差が認められました。
<CABOSUN試験について>本試験は、全身療法の治療歴のない、局所進行性又は転移を有する腎細胞癌患者さん(157例)を対象に、カボザンチニブ(79例、1日1回連日60mg投与)とスニチニブ(78例、1日1回50mg4週間投与2週間休薬)を投与した無作為化比較試験である海外第2相医師主導試験です。本試験では、独立画像評価委員会(IRC)によるレトロスペクティブな評価も行われました。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群で8.6ヵ月、スニチニブ群で5.3ヵ月であり、ハザード比(HR)は0.48〔95%CI:0.31~0.74、p=0.0008(層別ログランク検定)〕でした。
<Cabozantinib-2001試験について>本試験は、日本人腎細胞癌患者さんにおけるカボザンチニブの有効性および安全性を評価するために、血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した進行腎細胞癌患者さん(35例)を対象に、本剤60mgを1日1回連日投与した国内第2相試験です。主要評価項目である独立画像評価委員会(IRC)判定に基づく奏効率(ORR)は、20.0%(90%CI:9.8%~34.3%)でした。
<注意事項>本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。
以上